本記事では、逮捕歴や前科の影響による海外旅行の制限について、わかりやすくまとめています。

- 逮捕歴があると海外旅行には行けないの?
- 前科があっても入国できる国を知りたい!
こんな疑問にお答えします。

筆者のキリオ(@kirio_desu)です。大変お恥ずかしい話ですが、筆者には逮捕歴と前科があります。ただ現在では無事にホワイト企業に就職し、家族ともども平穏な生活を送っています。
上記のとおり、筆者は比較的早く新しい仕事に就けたので、正直あまり前科や逮捕歴があることによる不都合を感じたことはありません。
もちろん周りの人に散々迷惑を掛けてのことなので、以前とは生活も性格もガラッと変わりました。
でも実際、普通に生活している分には、さほど影響を実感しないのが実情です。
とはいえ、海外旅行ともなると話は別。
- 前科があると入国できない国があるらしい。
- そもそも逮捕歴があっても海外旅行に行けるのか?
このあたりは結構リアルな悩みです。
ということで、こんな情報発信している人はほかにいないし、何より自分自身が知りたいので、逮捕歴や前科の海外旅行への影響について徹底的に調べてみました。
逮捕歴があっても海外旅行には行ける!
結論から言うと、逮捕歴があっても海外旅行には行けます。
なので絶望する心配はいりません。
ただし、一部の国では制限があります。
特にアメリカやカナダ、オーストラリアでは入国制限がかなり厳しいです。
それと、罪名によってはパスポートの発行自体が許されないケースもあるので要注意!

とはいえ、偽造パスポートで逮捕された、とかでなければ基本的にはパスポートの発行には問題ないので大丈夫です。ここから詳しく解説していきます。
前科・逮捕歴とパスポート制限の関係
そもそも逮捕歴や前科による海外渡航の制限は、日本の旅券法13条1項で定められています。
(一般旅券の発給等の制限)
第十三条 外務大臣又は領事官は、一般旅券の発給又は渡航先の追加を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合には、一般旅券の発給又は渡航先の追加をしないことができる。
一 渡航先に施行されている法規によりその国に入ることを認められない者
二 死刑、無期若しくは長期二年以上の刑に当たる罪につき訴追されている者又はこれらの罪を犯した疑いにより逮捕状、勾こう引状、勾こう留状若しくは鑑定留置状が発せられている旨が関係機関から外務大臣に通報されている者
三 禁錮こ以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
四 第二十三条の規定により刑に処せられた者
五 旅券若しくは渡航書を偽造し、又は旅券若しくは渡航書として偽造された文書を行使し、若しくはその未遂罪を犯し、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百五十五条第一項又は第百五十八条の規定により刑に処せられた者
六 国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官の職務等に関する法律(昭和二十八年法律第二百三十六号)第一条に規定する帰国者で、同法第二条第一項の措置の対象となつたもの又は同法第三条第一項若しくは第四条の規定による貸付けを受けたもののうち、外国に渡航したときに公共の負担となるおそれがあるもの
七 前各号に掲げる者を除くほか、外務大臣において、著しく、かつ、直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者(引用:e-Gov)
これを噛み砕くと、以下のようになります。
☑パスポートの発行制限
- 渡航先の国で入国制限されている人
- 懲役2年以上の罪の疑いで逮捕または起訴されている人(現在進行系)
- 禁錮以上の刑で執行猶予中、仮釈放中などの人(現在進行系)
- 旅券法違反の罪で罰せられた経験のある人
- パスポートや渡航書の偽造・未遂で有罪判決を受けた経験のある人
- 国援法を適用され外国から帰還した経験のある人
- 外務大臣と法務大臣が日本の利益・公安に著しく害すると判断した人
細かいことは省略すると…
- 現在進行系で逮捕・起訴されている人
- 執行猶予や仮釈放中の人
上記に該当する人は、パスポートが発行されない場合があります。
逆に言えば、現在進行形でなく、刑の執行や執行猶予が終わっていれば基本的には問題ないということ。
ただし、外務省のホームページに以下の記載があるとおり、発行までに時間がかかるのでご注意ください。
刑罰等関係欄の各事項のいずれかに該当する方については,ご本人より提出していただいた関係書類に基づき,パスポートの発給可否などにつき慎重に審査を行うため時間がかかります。(引用:外務省のホームページ)
あとは、渡航先の国によって対応が違うようです。
逮捕歴や前科は入国審査で聞かれる?
基本的に、入国審査で逮捕歴や犯罪歴の有無を聞かれることはありません。
ほとんどの国では、パスポートさえあれば、入国に必要な用紙に持ち物なんかを記入するだけでOKです。
ただし、アメリカ、カナダ、オーストラリアでは、簡易ビザ(ESTA、ETA、ETAS)の発行時に犯歴の有無を問われます。
在日米国大使館・領事館のホームページには、以下のような記載がありました。
私は過去に逮捕されたことがあります。ビザなしで渡米できますか?
いいえ。逮捕歴がある場合は、ビザ無しで渡米することはできません。あなたの渡米資格を判断するためには、ビザの申請が必要です。ビザ申請の際には、判決謄本・裁判記録・またはあなたの犯罪歴に関しての関連書類を全て提出しなければなりません。日本語の書類には英訳文が必要です。もしお手元にそれらの書類をお持ちでない場合は、あなたが手続きを受けた裁判所を管轄する地区検察庁にご自身で連絡を取って入手してください。審査には数週間から数ヶ月間を要しますので、予めご承知の上、渡米予定日に充分余裕をもって申請してください。なお、パスポートがお手元に届くまでは航空券の購入や旅行の最終決定は控えてください。
上記のとおり、アメリカに入国するにはビザが必要になります。
このとき、判決謄本や裁判記録が必要です。
これらの書類は管轄の地区検察庁で入手できます。
その上で、ビザの発行が許可された場合に限り、アメリカへの入国が許されるのです。
これはハワイでも当然、同じこと。
アメリカ圏の国は9.11以降、外国人の入国にかなり厳しくなっているので、よく覚えておいた方がいいです。
前科があっても入国できる国とできない国
ここからは、前科があっても入国できる国と入国が厳しい国を具体的に紹介していきます。

といっても、基本的にはケースバイケースになるので、入国時にビザが必要か否かで分けてみました。
ざっくり言うと…
- ほとんどのヨーロッパやアジアではOK!
- アメリカ圏やロシア、ブラジルはビザ必要!
こんな感じで理解すればOKです。
もちろん、短期の海外旅行に限ります。

ビザが不要な国は、基本的にはパスポートさえあれば問題なく入国できると考えてもらって結構です。
ビザが不要な国
ビザが不要=前科があっても問題なく入国できる主な国は以下のとおり。
アジア
- インドネシア
- シンガポール
- タイ
- 韓国
- 台湾
- 中国
- フィリピン
- ブルネイ
- ベトナム(ただし30日以内の再入国にはビザが必要)
- 香港
- マカオ
- マレーシア
- モルディブ
- モンゴル
- ラオス
ヨーロッパ
西欧圏ならほとんどの国がOK。
ビザが必要な国
逆に、海外旅行でもビザが必要になる国は以下のとおり。
アジア
- アフガニスタン
- イスラム国
- インド
- カンボジア
- 北朝鮮
- スリランカ
- ネパール
- パキスタン
- バングラデシュ
- 東ティモール
- ブータン
- ミャンマー
ヨーロッパ
- アゼルバイジャン
- タジキスタン
- トルクメニスタン
- ロシア
北米・南米
- アメリカ
- カナダ(空港で入国する場合)
- プエルトリコ
- ブラジル
オセアニア
- オーストラリア
- ナウル
- パプアニューギニア
中東
- イエメン
- イラク
- イラン
- オマーン
- カタール
- クウェート
- サウジアラビア
- シリア
- バーレーン
- ヨルダン
- レバノン
アフリカ
- アルジェリア
- アンゴラ
- ウガンダ
- エジプト
- エチオピア
- カメルーン
- ガーナ
- ギニア
- ケニア
- ガボン
- コモロ
- コンゴ
- コートジボワール
- ザンビア
- ジブチ
- ジンバブエ
- スーダン
- タンザニア
- ナイジェリア
- ニジェール
- ブルキナファソ
- ベナン
- マダガスカル
- マラウイ
- マリ
- モザンビーク
- リベリア
- ルワンダ
- 中央アフリカ
- 大リビア・アラブ
【ケース別】逮捕歴や前科がある人の海外旅行

- 俺は書類送検だったけどどうなの?
- 不起訴になったら問題ない?
こんな疑問も出てくるはずです。
というわけで、ここからは、個別のケースごとに海外旅行ではどういう扱いになるのか、細かく調べてみました。
元受刑者は海外旅行に行ける?
刑が終わっているわけですから、問題なくパスポートは発行されます。
アメリカ、カナダ、オーストラリアなどのビザが必要な国以外なら、普通に海外旅行に行ってOKです。
執行猶予中は海外旅行に行ける?
パスポートの発行制限対象になるので、難しいです。(参照:前科によるパスポートの制限)
海外旅行は執行猶予が空けるまで我慢しましょう。
不起訴の場合は海外旅行に行ける?
不起訴なら基本的には問題なく海外旅行に行けます。
ただし、アメリカへの入国に際してはやはりビザの取得が必要になるようです。
「誤認逮捕でもESTAじゃダメなのっておかしくない?」と思うかもしれないですが、そのあたりは審査を通せば問題なく通るので、時間はかかりますが、ビザの申請をしてください。
略式起訴の場合は海外旅行に行ける?
罰金刑などの略式起訴では、前科によるパスポートの制限に該当しないので問題ありません。
アメリカなどのビザが必要な国以外では、普通に海外旅行に行けます。
書類送検の場合は海外旅行に行ける?
書類送検と逮捕は、刑事手続き上拘束があったかどうかの違いだけであって、罪の軽重には関係ありません。
よって、書類送検かどうかではなく、書類送検後に起訴されたか不起訴だったかが重要。
起訴された場合は、判決が前科によるパスポートの制限に該当するかどうかで決まります。
上記のとおり、不起訴なら問題ないですし、罰金刑などの略式起訴でも普通に海外旅行には行けます。
まとめ:逮捕歴や前科が不安なら大使館に確認しよう
最後に、本記事の要点をまとめます。
☑本記事の要点まとめ
- 逮捕歴があっても海外旅行には行ける
- 現在進行系で仮釈放中や執行猶予中なら、パスポートが発行されない可能性が高い
- 刑を終えていれば問題なく海外旅行に行ける
- ただしアメリカやカナダ、オーストラリアではビザの発行が必要
上記の点を考慮しつつ、最新情報は各国の在日大使館に確認していただくと確実です。
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