本記事では、執行猶予3年の生活を実際に送った筆者の体験談をつづっています。

- 執行猶予中にやってはいけないことは?
- どうやって過ごせばいい?
- 一人暮らししてもいい?賃貸契約はできる?
- 就活は始めていいの?
こんな疑問にお答えします。

大変お恥ずかしいですが、筆者は過去にとあることをやらかして逮捕・起訴され、執行猶予3年の判決を受けた経験があります。それでもホワイトベンチャーへの再就職に成功し、現在は会社を辞めて独立。キャリアカウンセラーとして活動しつつ、家族ともども、平穏な生活を送っています。

さて、実際の執行猶予中の生活ですが、結論から言うとほぼ日常と変わりません。生活上で制限されることはほとんどないし、執行猶予を理由にできないことはほぼ皆無と言っていいです。
ただし、執行猶予中に絶対やってはいけないことはいくつかあります。
これをやってしまうと執行猶予が取り消しになったり、即刑務所行きが確定したりしてしまうことも…。
この記事では「執行猶予中はこれだけはやってはいけない」「これはやっても大丈夫」というものをわかりやすくまとめています。
執行猶予期間を無事に過ごして健全な再スタートを切るためにも、ぜひこの記事をお役立てください。
執行猶予中にやってはいけないこと
執行猶予中に絶対やってはいけないことは、再び罪を犯すことです。
正確に言うと、執行猶予中に逮捕・起訴され有罪判決が出されてしまうと、執行猶予が取り消されてしまいます。
執行猶予中の再犯はNG!執行猶予の取り消しになる可能性
当たり前ですが、執行猶予は「刑の猶予」として刑務所に入ることを免れるだけであって、罪が軽くなったわけではありません。
「執行猶予」とは何ですか?
「執行猶予」には,刑の全部の執行猶予と刑の一部の執行猶予があります。
以前に懲役刑や禁錮刑に処せられたことがないなど一定の条件を満たす場合に,判決で3年以下の懲役刑又は禁錮刑を言い渡すとき,情状により,刑の全部の執行(刑務所に入ること)を1年から5年の範囲で猶予することができます。
また,同様に3年以下の懲役刑又は禁錮刑を言い渡すとき,犯情の軽重及び犯人の境遇その他の情状を考慮して,再び犯罪をすることを防ぐために必要かつ相当である場合に,その刑の一部の執行を1年から5年の範囲で猶予することができます。
したがって,猶予されている期間は,刑務所に入ることはありません。
しかし,「猶予」ですから,その期間内に再び犯罪を犯すなどしたときは「猶予」が取り消され,刑務所に入ることとなります。
出典:検察庁
上記のとおり、執行猶予期間中に再犯するとほぼ確実に執行猶予は取り消されます。
そして、前の罪+新しい罪の実刑が下ることが確定的。
たとえば前の罪は「懲役2年、執行猶予3年」だったとして、新しい罪が「懲役3年」だったとすれば、計5年間も刑務所に服役することになります。

執行猶予中だろうとなかろうと、初犯だろうと再犯だろうと当たり前のことですが、絶対に罪を犯してはいけません。
逮捕されても不起訴・無罪なら取り消しにはならない
万が一執行猶予中に逮捕されたとしても、不起訴または無罪判決が出た場合は、すぐに執行猶予が取り消しになることはありません。
絶対にやってはいけませんが、もしも執行猶予中に逮捕されてしまったら、全力で不起訴を目指すべきです。
執行猶予中に交通違反したらどうなる?
結論から言うと、執行猶予中に交通違反をしてしまっても、執行猶予の取り消しにはなりません。
交通違反では執行猶予の取り消しにならない
スピード違反やシートベルト着用義務違反、駐車禁止違反などの交通違反は、「罪」ではなく「行政処分」になるからです。

筆者もすごくナイーブになりましたが、車の運転は問題ないとのことで、安全運転を心がけて運転していました。
飲酒運転などの「交通犯罪」はNG!
ただし、悪質な「交通犯罪」は絶対にやってはいけません。
- 無免許運転
- ひき逃げ
- 飲酒運転
- 重大なスピード違反
上記のような行為は交通違反ではなく「交通犯罪」なので、執行猶予が取り消される可能性が高いです。

もしも執行猶予中に運転するなら、普段以上に安全運転を心がけてください。
【実録】執行猶予中の生活
冒頭でもお伝えしたとおり、執行猶予中の生活はほぼ日常と同じです。

絶対に再犯をしてはいけませんが、それ以外は法律上で制限されることはないし、筆者自身も不都合を感じたことはありません。
恐らく執行猶予中の生活で一番重要になるのは、まともな仕事について生計を立てられるかどうかではないでしょうか?
実際、仕事がないと、生活に苦労するだけでなく…
- 家を借りられない
- ローンが組めない
- クレジットカードを作れない
と言った不都合が生じます。

なので個人的には、きちんとした仕事に就けるかどうかが最大の問題になると感じました。
逆に言えば、仕事さえ決まってしまえば、執行猶予中でも日常と変わらない生活が送れると言えます。
執行猶予中にできないこととできること
執行猶予中にできないこととできることを整理してみました。
- 一部の国への海外旅行
- 一部の国家資格の取得
- 就職活動
- 一人暮らし
- 賃貸契約
- 選挙の投票
執行猶予中にできないこと①:一部の国への海外旅行
基本的に執行猶予中でも海外旅行は問題なくできますが、一部の国では犯罪歴があると入国できません。
具体的には米国やカナダ、オーストラリアが特に入国制限に厳しいです。
国別の対応やパスポート発行の制限については、前科持ちが入国できる国とできない国でわかりやすくまとめているので、参考にしてみてください。
執行猶予中にできないこと②:一部の国家資格の取得
一部の国家資格では、前科があると取得制限があります。
具体的には弁護士、弁理士、教員などは資格停止期間が設けられていますし、警察官や検察官などは前科がある時点で一生なることができません。
細かな内容は前科者が多い職業と絶対なれない職業でまとめているので、参考にしてみてください。
執行猶予中でもできること①:就職活動
よく質問されますが、執行猶予中でも就職活動をして問題ありません。
むしろ少しでも早く就職し、生活を安定させることが重要です。
執行猶予中でもできること②:一人暮らし
執行猶予中であっても一人暮らしをすることはできます。
ただし罪名によっては保護観察等で制限される可能性もあります。
執行猶予中でもできること③:賃貸契約
マンションやアパートの賃貸契約も問題なくできます。

これはオーナーや大家さん、管理会社の方針次第だと思いますが、少なくとも筆者は執行猶予中でも何の問題もなく賃貸契約することができました。
前科があると賃貸契約できない?勤務歴1ヶ月でもOKだった実話では、賃貸契約しやすい方法についてまとめています。
困っている方は目を通してみてください。
執行猶予中でもできること④:選挙の投票
執行猶予中でも、選挙権は停止されません。
公職選挙法では、選挙権を失う人の条件について、以下のような記載があります。
禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く)(引用:総務省)

選挙違反関連でなければ、普通に投票券は送られてきますし、筆者も投票に行きました。
被選挙権についても失効条件は同じなので、執行猶予中でも選挙に立候補することは可能、ということになります。
まとめ:執行猶予中でも前向きに生活しよう!
ということで、本記事の内容をまとめると…
- 執行猶予中は絶対に再犯してはいけない
- 再び有罪判決が出ると執行猶予が取り消される可能性大
- それ以外の生活はほぼ日常と変わらない
- 最も重要なのは安定した仕事を見つけること!
筆者は執行猶予中も特に制限なく過ごし、今では安定した生活が送れるようになりました。
就職活動には苦労する方も多いと思いますが、決して不可能ではないです。
筆者の経験も参考にしつつ、ぜひ前を向いて頑張ってください。
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