「契約社員はバイトと変わらない」
そんな意見を時折見かけます。
現役キャリアカウンセラーの管理人です。
もちろん契約社員は立派な「社員」であるのに対し、アルバイトはあくまで「バイト」。立場は全然違いますが、実際それぞれの違いを細かく知ってる人は少ないですよね?
そこで本記事では、契約社員とアルバイトの違いについて、給与や待遇などあらゆる角度から比較してみました!
概要をまとめると以下の通りです!
- 「期間の定め」が法律上で決められている
- 社会的な信用度はアルバイトより高い
- 給与や勤務時間は安定している
- 契約更新する必要がある
- 給与や勤務時間は不安定
- 社会的信用度が低い
- 自分の好きなタイミングで辞めやすい
- 働くペースを自分で決めやすい
結論から言うと、契約社員とバイトは全然違います。
どちらがいいというのは働く目的によって変わってくるので一概には言えませんが、契約社員にもアルバイトにもそれぞれメリット、デメリットがあります。
記事本文で詳しく比較しているので、契約社員とアルバイトの雇用形態の違いを知りたい方はぜひ続きを読んでみてください!
契約社員とアルバイトの違い
契約社員とアルバイトの違いについて細かく解説していきます。
☑契約社員とアルバイトの主な違い
契約社員 | アルバイト | |
法律上の 正式名称 | 有期労働契約 | パートタイム労働者 |
就業時間 | 固定 | 不定(シフト制) |
社会保険・雇用保険 | あり | あり |
給与 | 固定(月額) | 不定(時給制) |
賞与 | なし(事業所による) | なし(事業所による) |
有給休暇 | あり | なし |
社会的信用 | 高い(正社員よりは低い) | 低い |
メリット |
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デメリット |
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※オーソドックスなケース。細かな決まりは事業所ごとに異なります。
法律上の違い
「契約社員」は法律上、正式には「有期労働契約」といいます。
契約社員といわれる人たちなどにみられるように、正社員と違って、労働契約にあらかじめ雇用期間が定められている場合があります。このような期間の定めのある労働契約は、労働者と使用者の合意により契約期間を定めたものであり、契約期間の満了によって労働契約は自動的に終了することとなります。1回当たりの契約期間の上限は一定の場合を除いて3年です。(参考:厚生労働省)
1回あたりの契約期間は3年と定められています。
一方の「アルバイト」の正式名称は「パートタイム労働者」で、いわゆるパートもバイトも同じです。
パートタイム労働者とは、1週間の所定労働時間が、同じ事業所に雇用されている正社員と比べて短い労働者をいいます(パートタイム労働法では、「短時間労働者」といいます)。「パートタイマー」や「アルバイト」など、呼び方は異なっても、この条件を満たせばパートタイム労働法上のパートタイム労働者となります。
パートタイム労働者を雇用する使用者は、パートタイム労働法に基づき、公正な待遇の確保や正社員への転換などに取り組むことが義務付けられています。
また、労働者を雇い入れる際、使用者は、労働条件を明示すること、特に重要な条件については文書を交付することが義務付けられていますが、パートタイム労働法では、すでに述べた5点(こちらを参照)に加え、昇給・退職手当・賞与の有無についても文書の交付などによる明示を義務づけています。(参考:厚生労働省)
バイトと聞くと雑な扱いを受けるイメージがありますが、パートタイム労働法では公正な待遇の確保や正社員への転換などに取り組むことが義務付けられています。
就業時間の違い
契約社員の場合、正社員と同じように就業時間が定められているケースがほとんどです。
一方アルバイトは「シフト制」のところが多く、日によって就業時間がバラバラ。
自分の都合で決められるメリットがある一方、働きたくてもシフトの関係で外されてしまうこともあります。
社会保険・雇用保険の違い
よく勘違いされがちですが、契約社員でもアルバイトでも社会保険(健康保険、厚生年金保険)・雇用保険に加入することができます。
いずれも以下の一定の条件を満たす必要がありますが、正社員と同じように保険証を発行してもらうこともできるんです。
- 雇用保険:①1週間の所定労働時間が20時間以上②31日以上の雇用見込がある
- 健康保険・厚生年金保険:1日または1週間の労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、通常の労働者の分の4分の3以上
参考:厚生労働省
ということで、社会保険や雇用保険の面では差はありません。
給与の違い
もちろん事業所によって給与体系が違うというのが大前提ですが、一般的には契約社員とアルバイトとでは給与で大きな差があります。
- 主に月給制
- 賞与(ボーナス)ありが多い
- 契約更新時に昇給あり
- 主に時給制
- 賞与(ボーナス)なしが多い
- 時給アップの可能性あり
基本的に契約社員は、正社員と同じように「月給制」のところがほとんどです。一定期間働いていれば、正社員同様に賞与の対象にもなります。
一方アルバイトは「時給制」のところが多く、賞与がもらえるところは稀。頑張れば頑張るだけ稼げるともいえますが、不安定なのは否めません。
とはいえいずれも雇い主次第で変わってくるので、詳細は勤務先に問い合わせてみましょう。
有給休暇の違い
契約社員は正社員と同じように、有給休暇の定めがあります。
一方アルバイトは基本的に有給休暇の概念がありません。
ただしこの「定め」も雇い主次第で変わってくるので、詳細は勤務先に問い合わせてみましょう。
社会的信用の違い
社会的信用で見ると、契約社員の方が有利です。
正社員と比べると信用度は低いですが、契約社員であればクレジットカードの審査や賃貸契約も比較的スムーズです。
一方アルバイトの場合は、クレジットカードが作れなかったり、賃貸に住めなかったりするデメリットが出てきます。
契約社員とアルバイトそれぞれのデメリット
契約社員にもアルバイトにも、それぞれメリットとデメリットがあります。
まずはデメリットから見ていきましょう!
契約社員のデメリット
正社員じゃなくてもいいという意見こそありますが、実際は正社員と比べると契約社員はデメリットしかないと言われるほどデメリットだらけの契約社員。
アルバイトより待遇面でいいのは間違いないですが、逆に簡単には辞めにくいなどのデメリットもあります。
契約更新が必要
契約社員は雇用期間が決まっているので、満期を迎えるたびに更新する必要があります。
満足に働いてスムーズに更新できれば問題ないですが、仕事ぶりや雇用主の経営状況によっては突然契約を打ち切られてしまうこともあるので要注意です。
仕事の成果が重要
雇用期間の定めがある契約社員の場合、仕事ぶりの評価が極めて重要です。
評価が高ければ昇給や賞与をもらえるチャンスがある一方、評価が低ければ契約打ち切りになる可能性も。
正社員やアルバイトよりシビアに見られやすい立場とも言えます。
正社員ほどの社会的信用はない
仕事内容は正社員とあまり変わらないのに、正社員ほど社会的信用がないのもデメリットです。
正社員になると様々な面で優遇が受けられるので、仕事面で評価されているのであれば積極的に正社員への切り替えをアピールしましょう。
アルバイトのデメリット
アルバイトは自由に勤務時間を決められるのが大きなメリットですが、正社員バリに長時間働く場合はデメリットを被るケースが多いです。
給与が不安定
アルバイトの場合は時給制のところが多いので、働けば働いただけ給与がもらえます。
ただしシフトが希望通り通る保証はなく、月々もらえる額が不安定になりがち。
その点契約社員であれば月給が決まっていることが多いので考慮しておきましょう。
解雇されやすい
雇用主の経営状況によって、真っ先に解雇の対象になるのがアルバイトです。
契約社員と違って雇用の定めが無いので、突然「来月から来なくていいよ」と言われてしまう可能性も。
アルバイトで生計を立てる場合は副業先を決めておくなどリスク管理も必要になります。
社会的信用が低い
契約社員と比べてもアルバイトの社会的信用は残念ながら低いです。
いわゆる「フリーター」ということでクレジットカードの作成や賃貸契約がしにくくなります。
契約社員とアルバイトそれぞれのメリット
契約社員にもアルバイトにも、それぞれメリットがあります。
契約社員のメリット
契約社員は正社員ほど責任がなく、異動などの対象にならない一方、アルバイトと比べると生計が立てやすいのが最大のメリットです。
収入が安定する
契約社員は基本的に月給・勤務時間が決まっているので、毎月の収入が安定します。
賞与がもらえるところも多く、収入面では正社員とさほど変わりません。
アルバイトのようにシフトによって給与が変わるということがないのは大きなメリットです。
社会的信用がある
契約社員はアルバイトと比べると社会的信用があります。
正社員と比べると苦労する点は多いですが、クレジットカードの作成や賃貸契約は基本的に問題なくできることが多いでしょう。
正社員になりやすい
契約社員での働きぶりが評価されれば、そのまま正社員に昇格できることも少なくありません。
逆に気に入らなければ契約満了をもって転職することもできるので、生活の変化に合わせた働き方が選べるメリットも大きいです。
アルバイトのメリット
待遇面や社会的信用では劣るアルバイトですが、アルバイトならではのメリットも存在します。
いつでも辞められる
雇用期間が決まっている契約社員と比べ、アルバイトはいつでも辞められるのが最大のメリットです。
生活の変化に合わせて自由に決められるので、プライベートが忙しい人はあえてバイトを選ぶ人も多いですよね。
掛け持ちがしやすい
アルバイトであれば複数の掛け持ちが自由にしやすく、掛け合わせ次第では正社員ばりに稼ぐことも不可能ではありません。
契約社員だと「副業」になってしまい勤務先によっては掛け持ち不可なので、たくさん稼ぎたい人はバイト掛け持ちで頑張るのも選択肢になります。
労働時間を決めやすい
基本的には時給制やシフト制のところが多いので、自分の裁量で労働時間を決めることができます。
「今月はガッツリ入って、来月はあまり働かない」というような働き方ができるので、プライベートや趣味、夢の実現に時間を使いたい人にはメリットが大きいです。
バイトと契約社員ならどっちがいい?
バイトと契約社員ならどっちを選んだほうがいい?
アルバイトにするか契約社員にするかという選択は、自分の生活と照らし合わせて決めるのがいいです。
安定した収入を望むなら契約社員
毎月決まった収入がほしいなら契約社員を選ぶべきです。
契約社員は正社員と同じように「月給」が決まっているので生計が立てやすく、雇用期間内なら食いっぱぐれる心配もありません。
そのまま正社員になれる可能性もあるので、しっかり働きたいなら契約社員を目指しましょう。
自由に時間を使いたいならアルバイト
一方、仕事以外のプライベートや趣味などに時間を使いたい方は、アルバイトの方が融通が効きます。
労働時間も自分の裁量で決められるし、自分のタイミングで辞めやすいのもメリットです。
資格などの勉強をしていて取り急ぎ生活費を確保したいという方も、アルバイトの方が都合はつけやすいです。
正社員との格差が縮まる可能性
2020年4月から開始された「同一労働同一賃金の制度」をご存知でしょうか?
これは「同じ会社で同じ仕事をしているなら、正社員も契約社員もアルバイトも関係なく、待遇差をなくしましょう」という制度です。
これによって、今後、正社員と契約社員、フリーターなどの待遇差が縮まる可能性がありそうです。
契約社員とアルバイトでよくある質問
契約社員やアルバイトについてよくある質問をまとめてみました!
アルバイトから契約社員になれる?
アルバイトから契約社員になるケースは少なくありません。
バイト時代の仕事ぶりが評価され、そのまま契約社員や正社員になれるケースはもちろんあります。
しかし、そもそも契約社員という形態自体を採用していない場合もあります。
アルバイトから契約社員を目指すなら、素直に勤務先に問い合わせてみるのが一番です。
契約社員からアルバイトになれる?
極稀に契約社員からアルバイトに「格下げ」したいという人もいるようです。
基本的には可能ですが、勤務先がアルバイトを採用していない可能性もあります。
素直に勤務先に問い合わせてみてください。
契約社員とバイトを掛け持ちしてもOK?
勤務先によって回答が変わります。
契約社員の勤務先が副業や掛け持ちがOKなら、バイトと掛け持ちしてもOKです。
バイト先については基本的に縛りがなく自由なので、複数のバイトを掛け持ちしても問題ありません。
まとめ:契約社員かアルバイトかは自分に合った方を選ぼう!
最後に本記事の内容をまとめます!
☑まとめ
- 契約社員にもアルバイトにもそれぞれメリット、デメリットあり
- 自分の生活スタイルに合わせて雇用形態を選ぼう
- 正社員を目指すなら転職エージェントを活用しよう
いまの時代は働き方が多様化していて、人それぞれ理想の雇用形態は違います。
正社員でも契約社員でもアルバイトでも、それぞれ違ったメリット、デメリットがあるので、自分の生活環境と相談しながらベストな働き方を選びましょう!